研修医インタビュー〜千葉県立病院群で研修してみて〜

庭瀬亜香研修医

庭瀬研修医写真

「研修での一番大きなメリットは、本当に色々な病院を見られることです。」

Q1.千葉県立病院群を卒後の臨床研修先をして選んだ理由を教えてください。

Ans. 研修先を決めるにあたり、約30の病院を見学しました。それぞれ弱い部分や強い部分があったのですが、千葉県立病院群は専門病院から一般病院まで複数の病院を回ることで、多様な経験ができそうなところに魅力を感じました。一般的な傾向として小児科や産婦人科はや精神科や地域医療はあまり充実していない場合が多いのですが、こちらでは比較的充実した研修ができるところにも惹かれました。また、実家が千葉県のため、戻ってきたいという気持ちもあって決心しました。

Q2.庭瀬先生は2年目に色々な病院をローテートしていらっしゃるようですが、それぞれどのような特徴がありましたか。また多くの病院を見られるメリット・デメリットも感じだと思いますが、率直な感想を含めて教えてください。

Ans. 私の場合、千葉県病院具群すべての病院をローテーションしました。1箇所リハビリセンターだけは1週間だったのですが、他は1ヶ月〜半年単位で研修をしました。

研修は、今現在研修中のがんセンターの消化器外科からスタートしました。県立病院の中では、一番大学病院に近い雰囲気ではと思います。消化器外科では、毎朝採血と全患者のプレゼンをし、オペに入る毎日でした。ここで基本的手技や患者さんへの対応の仕方などを学ぶことが出来ました。消化器内科では、病棟の業務がメインでしたが、同時にガン治療の最先端を見られ、エコーなどの勉強もさせていただきました。

救急医療センターは、三次救急に特化した病院で、ICUやCCUのリーダーをさせていただくことで、全身状態の把握の仕方の基本を学びました。残念ながら1ヶ月間だけの研修でしたが、心肺停止状態で運ばれてくる、重篤な患者さんばかりを診ることで、後に経験する一・二次救急でも、重症度の判断が出来やすくなったと思います。

その後半年間は地域の中核病院、佐原病院での研修でした。こちらは専門病院の対極にある野戦病院的な感じで、医師不足・医療過疎の現状を経験することになりました。前半3ヶ月間いた内科では、研修医でも患者さんの主治医になり、上級の先生方にコンサルはしますが、治療方針やご家族への説明も含めて行うことで、主治医としての責任の重さを痛感しました。一方、外科では、直接の主治医になることはありませんでしたが、仕事は非常にハードでした。毎日、朝6時から、研修医として患者さん全員(平均70名、多いと100人近く) を朝6時から一人で回診し、8時10分からの朝カンファで全員分プレゼンし、その後、外科チームとしての回診で全員包交に回ったあと、9時からオペに入り、多いと複数のオペに入る合間に書類作成などの雑用をこなし、夜は各種カンファの準備という日々でした。そのときはとても大変だと思ったのですが、この後はどんな病院でも頑張っていけるという自信になりました。

東金病院では、地域医療の研修だったため、病院本体ではなくて地域の開業医で研修しました。通常、基幹病院にしかいない研修医は、入退院の前後の患者さんの状態まで把握していないことが多いと思うのですが、開業医の日々の診療を研修させていただくことで、自分がいかに患者さんの病態のごく一部しか見ていなかったのか、ということを痛感しました。在宅医療では、医療者と家族の抱える難しさを垣間見ることができ、また、町の薬局研修でも、地域の方々の生の姿や声が聞けて、地域の中核病院と診療所がどう役割分担しているのかという病診連携の現状を前より深く理解することが出来ました。

こども病院は、NICU(新生児特定集中治療室)と代謝科で非常に専門的な小児医療を経験できました。NIICUでは、千葉県各地から搬送されてくる未熟児や先天性疾患をみることができ、大人とは全く異なる新生児医療の難しさを経験することが出来ました。また、代謝科では、全国的・世界的にも非常に珍しい代謝疾患のお子さんを診ることができ、とても勉強になりました。

循環器病センターは、世代の近いシニアレジデントクラスの先生が比較的多く、また、千葉県内から循環器の症例が集まっていたため、非常に充実しており、心臓カテーテルの助手もさせていただき、非常に充実した研修を遅れましたが、選択期間だったため、1ヶ月と短かったのが心残りでした。

精神科医療センターは、精神救急に特化した病院で、非常に重篤な状態になって入院してくる主に統合失調症の患者さんが、実際に治療によって数週間の間にめざましく回復し、短期間で退院していく姿を間近で診ることができ、精神疾患に対する考え方が変わりました。

リハビリセンターは、私が無理にお願いして回ったため1週間だけでしたが、そのほかの病院ではなかなか診ることができないリハビリの実態や、身体障害、知的障害のこどもたちの療養生活や学校をみることができ、医療以外の部分でも非常に貴重な体験が出来ました。

千葉県立病院群では婦人科はあるのですが、産科が存在しないため、提携している千葉労災病院で産婦人科を研修しました。県立病院以外の一般病院で救急当直もさせていただき、そこの研修医の方々とも交流でき、良い経験になりました。

そして今現在はスタートしたがんセンターへ戻り、選択の麻酔科で研修をしているところです。麻酔科では、上級医の指導の下に実際に麻酔医として麻酔を担当するため、非常に責任も重いですが、やりがいある毎日を過ごしています。

千葉県病院群の研修での一番大きなメリットは、専門病院から一般病院まで、本当に様々な病院で研修できることです。それぞれの場所で、たくさんの医師やコメディカルスタッフと出会えたことはこの2年間での一番の財産ではないかと思っています。

また同じ県立病院でも、専門病院と地域病院の違い、また専門病院でも科による違いを実際に体験できたことはとても良かったと思います。デメリットは、病院ごとに電子カルテなどのシステムが違うため、その都度覚え直さなければならないのはちょっと大変でした。また、なるべく引越しの負担が少ないよう配慮はしていただけるのですが、それでもやはり病院を移動するだけでも教科書等の私物の移動は少し大変でした。

Q3.これまでの研修を振り返って、特に印象に残っている診療科や経験した症例等があれば教えてください。

Ans. 佐原病院での内科研修中、救急外来で初診から担当となった70代男性の患者さんのことが印象に残っています。別の病院を一度退院したにも関わらず原因不明のイレウスが改善せず受診され、数ヶ月前はマラソンできたほど体力もあったのに受診時は歩行困難なほどでした。検査を進めていくうちに薬剤性の悪性症候群とわかり、治療で回復していきました。しかし、ある日の朝、突然気道閉塞し、意識不明の重体に陥ってしまい、心臓マッサージや気管挿管等の処置をして一命はとりとめたものの、低酸素脳症で一生植物状態かもしれないとご家族にも説明しました。しかし、その後、詳細な検査の結果、膠原病が判明し、治療の効果があったのか、奇跡的に回復し、意識も完全に戻り、更に、記憶障害なども全くなく、ほぼ前の元気だった頃に戻って退院されました。年賀状まで頂き、「命の恩人」とまで書いてくださって、回復されたのはご本人の生命力がかなりあったと思うので、お恥ずかしい限りなのですが、それでも諦めず頑張って本当に良かったと思いました。

Q4.医学生へ向けて、一言お願いします。

麻酔科写真

Ans. 興味を感じた病院には実際に見学しにいって、その病院の雰囲気を肌で感じてください。ホームページ等ではなかなか現場の雰囲気は分らないと思うし、たとえ1日でも実際に病院にいると見えてくることが沢山あると思います。どの病院を選んだら良いのか、自分には何科が向いているのか悩むこともあると思いますが、今の気持ちや見学して感じた印象を大切にして病院選びをしてください。研修医になると考えが変わってくることもあるかとは思いますが、今の時点でなにか将来の志望が決まっている場合は、その専門が充実している病院で研修したほうが将来に向けての展望がより開けてくるのではないかと思います。


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